ギャルゲー・エロゲーを中心とするレビューを綴るブログであります。基本ネタバレありです。
2016年は8作品。久々に熱が出た。今年は…今のところ気になる作品もない。

ひまわり

2010.07.18 by てるりん♪

40.ひまわり
発売元 ぶらんくのーと
監督 ごぉ
キャラクターデザイン たつきち

 

 

 

 

<ストーリー>

日向陽一は2年前に起こった高々度旅客機 SA-DAN080型の墜落事故で奇跡的に救助され、一命を取り留めるが同じ便に乗っていた両親は帰らぬ人となり、また陽一自身も過去の記憶を失った。

春休み、高校で宇宙部の仲間と共にロケット開発に没頭する陽一の前にUFOが墜落して来る。そのUFOに乗っていたアリエスと名乗る少女は記憶を失っており、仕方無く陽一の家で 一緒に暮らすことにするが、アリエスとの同棲生活を通じて2年前の事故に関する記憶を失っていた陽一の心境に変化が生じ始める。 (by wikipediaより引用)

■テーマ度数

pikautu
pikanaki
pikaodoroki
pikaomosiro
pikamoe
4 5 2 3 4

鬱…主人公・ヒロイン達が翻弄されていく運命の先に待つ結末、過程が…。アップダウンが激しい鬱展開。
泣…まさに魂の名作。展開やキャラクターに感情移入出来れば泣ける。まさに名作と言える泣きゲー。
驚…展開的にネタばれは非推奨。伏線が全て繋がった時…その真実には驚きを隠せないかも。
笑…2050年編。銀河・アリエス達の仄々としたギャグがメリハリあって良い感じ。
萌…なんせゲームジャンルがロリっ娘宇宙人同棲アドベンチャーですから…^^;

 

<感想>※ネタバレあり
シナリオの面白さには脱帽。日常パートからは連想できないようなシリアスな内容のギャップに何と言ってもコストパフォーマンスからのシステムのクォリティの高さが素晴らしい。その点、過大に評価しているかもしれないが、心に刻まれた作品。
これぞSF作品の神髄…!と思わせるような世界観が実に神秘的で完美に満ち溢れていた。

これが同人と言うのだから尚更驚きだろう。『ひぐらし』も良かったが、それと同等、それ以上にこの『ひまわり』も心に残った作品。

 

 

シナリオ(46点)


シナリオルートは固定。 1週目 アリエス ⇒ 2週目 ⇒ 星野明香里 3週目 ⇒ アクア 4週目 ⇒ 西園寺明香

ひまわりはジャンルを言えば『SF』と『ヒューマンドラマ』に『恋愛ドラマ』であり、広狭に物事を解釈したシナリオ。敢えて例えるなら…

1.無限ともいえる宇宙を人生と言う限られた時間の中に押し込め縮図した物語
宇宙への挑戦…遥かなる高みへ…人類の夢…。冒頭の台詞だ。
出てくるキャラクターは皆宇宙に対して一様の思いを馳せている。
宇宙を愛し夢を追う者、宇宙を嫌い夢を閉ざす者…。

宇宙と言う広大で先が見えない、しかし広大な先に魅力を感じ、孤独を感じ、または死さえも受け入れる…。
宇宙とは人生の縮図ある。

『ひまわり』と言う作品は人生をこの広大な宇宙(ソラ)に比喩させ、過酷とも言える運命を背に、理不尽な人生に抗う者、見えない先に目を閉ざし孤独になる者…そういった大人達、主人公やヒロイン達が自ら人生を切り開く広大な物語でもある。

1週目はそんな『ひまわり』の世界へと引き込む一つの大きな伏線に過ぎない物語でもある。

なんせ、キャラ絵からは想像できないほどにシリアスで重たい物語となっているんだもん…w
冒頭からいかにもお決まりのような展開かなーと思えば、急にシリアスになり、更には意図的に伏線を残したまま終わるんだからね…。

しかし、2週目アクア編から『ひまわり』の真の物語が始まるのですヨ…。

2.親として…子として…

■いつまでも子供で在りたかった大人達。

episode2はアクア視点の2048年から2050年のあの事故が起きるまでの過程を描いた物語だ。

これは人類にとっては小さな一歩だが、一人の人間にとっては偉大な飛躍だ』 by 雨宮大吾

これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ』 by アーム・ストロング船長

これは実際にアポロ11号で月面へと人類 初めて立ったアーム・ストロング船長のパロディでもあるのだが…!

何とも大吾らしい台詞だなぁとしみじみ…w まさかこの名言を逆 に変えるだけでここまでシナリオの伏線に繋げる所がすごいとしか言いようがありません。

結局、彼等大人達は月面と言う偉大な夢では なく、もっと身近に大切な事があると言う事に気付いた時に…、いや彼等は既に気付いていたのに、それが出来なかった…、夢と言うのは時に人を狂わせるような麻薬のようなものかもしれない。

つい夢中になってしまい我を忘れたり…、夢は己を狂わせるのだ。しかし、大人になれば次第にそれが薄れつつある。

『子供は純粋故に恐ろしい』…彼等大人達は子供の心のままに大人に成長してしまい、純粋だった為に誰一人とも決断が出来なかった(大人になれなかった)のかもしれない。

明・明香里・大吾・宗一郎は互いに夢を実現するために犠牲になった代償はとても大きいものだった、子供のように純粋だった為に、歯止めが効かなく なってしまう…、自分の夢は幻想(それより大事なモノがある)に過ぎなかった事…、彼等が気づくにはあまりにも刻が流れ過ぎてしまっていた…。

抗う事だけが全てではなく、受け入れる事が大人の行動なのだ。

そんな大人になりきれなかった大人達の切なさを物語ったepisode2だ。

■大人になってしまった子供
そんな大人を愛してしまった(大吾)アクアの視点からアクアの心情が巧みに描かれいる。

アクアは、初めから自分の運命を受け入れています。抗う事もせずに…自分の想いを閉じ込めて…。
夢もなくただ孤独に過ごす日々に慣れ てしまい、当たり前のような日々にただただ絶望しきっていた。

そんな中、大吾との出会いからアクアの世界に対する価値観は一変します。

『欠陥品だから…』、『失敗作だし…』。全てを塞ぎ孤独に閉じこってしまったアクアのアイデンティティを確立させ、そして現実へと突き落とす…大吾との出会いで自分の想いを知り、大吾との出会いで自分の運命を知る…。

天国から地獄へ…。まさに宇宙から地球に落ちるが如く…。誰しも完璧な人間はおらず、不完全だからこそ人は支え合い、人は不完全な所を埋めようと努力したりするんです…、そんなアクアの姿がとても印象的で、強気の姿とは裏腹に精神的に弱く、アリエスと対照的に描きながらアクアの成長を記したシナリオなんです…。

大吾の死を受け入れたアクアだからこそ、大人になれなかった大人達とは違い、子供でありながら大人になってしまったアクア。

そんな二つの夢・想いが交錯するepisode2。そして完結に向けて2050年へと…。

■ 親子の関係

この作品の特徴をあげるなら、親子の関係だ。
親が背負った業がヒロイン・主人公にも重荷を背負わせてしまっている事だ。

特に主人公はまさか自分が助かった事故の裏に○○○な事があるなんて…!と思うとすごいゾッとする。
もし自分が事実を知ったら多分卒倒するだろうなぁ、日向家が最も悲運だった家族なんだよね…。
葵が最後の最後に記憶を取り戻した事を思えば…最も不運だったのは宗一郎だったかもしれない。

そう思うと身勝手な大人達が行った行為はあまりにも原罪は大きいだろう。

事実を受け入れ、正面からぶつかり合いその存在を超えていく…、いつの時代でも子は親を乗り越えていく存在であり、親は子を歯痒くも見守っていかなければならないものなんだろう。

ルナウィルスのように他人を使ってまで記憶を伝承するんではなく、人間にとって必要なのは親が子に想いを伝承させる事なんでしょうねぇ…。
それが本来ある親子の関係なんだなと。

ラストはそれぞれの想いを胸に未来へと歩む姿が描かれる綺麗なハッピーエンドで終わります。

3.伏線の広げ方・収拾が上手い

この作品の良さの一つとしてはられた伏線と収拾が実に上手い所だ。伏線を全て消化してしっかりとシナリオを締めていくあたりは脚本が上手いと言う事だ。

キャラクターの名前から、事故の全貌、ルナ理論から引き継がれる親子の関係、運命…。
起承転結がしっかりとしているので(特に承転が)、物語にグイグイ引き込まれます。

SFらしい、独自の理論が展開されていますが、どれも矛盾なく密接にシナリオへの伏線として機能出来ており、伏線を拾う瞬間、その過程がこれほど面白いと思えるような作品は早々ないだろう。

4.ひまわりで始まり、向日葵で終わる

いつまでも子供でいたい、『ひまわり』でいたかった彼等は、過去を受け入れ未来へ歩む揺ぎ無い想いを胸に秘め、彼等は大輪となった『向日葵』を咲かせ青い空へと登り始める…。

自分らしくある事、簡単なようで難しいものですヨ。

ひまわりで始まり、向日葵で終わる…。タイトルの上手さが物語った作品です。

BESTシナリオ:アクア編
 

キャラクター(13点)


■ヒロイン
全員ロリキャラ…。
彼女達が生まれ育った背景や環境、全てがシナリオと密接に繋がっており、どのヒロインも『傷を負った』過去(現在進行形)を持つヒロイン達です。

アリエス…
表向きは不思議ちゃん、ドジっ娘…と愛嬌の良い可愛らしいキャラだが…デザイナーズCの中では最も芯が強く、最も仲間思いの女の子…。
攻略キャラの中では最も報われないだけに…

アクア…
ツンデレ代表格。表向きは強気で自己が強い女の子なのだが…裏向きは未来に絶望しているとても芯の弱い女の子。特にepisode2からアクアの視点で彼女の内面や自身を『失敗作』と言い、己の境遇に絶望しているのだが、大吾との出会いから自身のアイデンティティを確立させていくあたりが実に丁寧に描かれており、本作のメインヒロインと位置付けても問題はないだろう。アクアが持つ性格の表裏が絶妙にコントロールされているので、感情移入出来れば間違いなく惚れる女の子だろう…w 
解放されたアクアはある意味無敵なツンデレだよなぁ…あれもアレで痺れるが、かなり扱いづらいツンデレ…w

明日香…
実は○○だった!と言う隠し属性を持った女性。幼馴染かつお嬢様と言う立場から性格…はと思いきや案外普通の女の子だったりする…。
母系が持つ呪いとも言える運命に翻弄されながら、マイウェイを貫き通す!明日香ルートは明日香と言うよりは明だろうな…、まさか…!?
と思う一面が前面に出ています。唯一事故以前の過去を知る事もなく突き進む主人公のシナリオだったりします。

アオイ…
まぁ番外編と言うか…あれだけ一章で謎に包まれていただけに…物語の重要な部分を締めたりするが案外活躍する場が無いと言う…。
DCの3人の中では表裏が無い普通の女の子だ。TIPSで保管された36個のシナリオが実に仄々としてて良い。

■主人公
ある意味最も被害者的な立場にいる主人公。
記憶喪失で過去がごっそり抜けている。
過去を覗こうか、未来に突き進もうが、彼が待つ運命はどれも悲劇的なモノ…w

地味で目立たないが、時に熱血属性になったりと、立ち廻り良く映る。

BESTヒロイン:アクア

システム(20点)


■インターフェース
何と言っても値段(1300円)の割にこれだけの機能が付いていれば何一つ文句はないでしょう…。
シンプルで使いやすく、高速スキップ、自動追尾機能など細かい点は致せり尽くせり。普通のフルプライスのメーカーと何ら変わりない。
BAD ENDING後に前の選択肢に戻れる点とかもいいね!

■CG鑑賞
全36枚(追加パッチ含)。
CG枚数の少なさは特に。まぁ基本立ち絵と背景画とテキストです。Movieは二つ。OPと2週目の予告編。

■TIPS
追加パッチで34つ。ある葵とのミニストーリーです。
全ED(BAD含)を通った後に35個目のTIPSが出てきて、35個目終了後に、36個目のTIPSで全ての伏線が消化されます。

誤字は結構ありましたが、パッチをかければ問題なし。寧ろこのプライスでこれだけの『おまけ』がついていれば大満足の出来だとは思いますが…。
特に私の場合はシナリオ重視なので。

 

CG & BGM(13点)


■ キャラ絵
同人ゲームにしては上手い作画かなーと。といっても同人ゲームは『ひぐらし』と『ひまわり』しかしてないので、何とも言えませんが…w
仄々としたキャラ絵で、サブタイトルのように、皆可愛らしいキャラクターばかりです。私的には横からのキャラ絵が可愛らしくて良い感じ。
ただイベント画が若干違和感をあると言うか…、キャラクターによってはだいぶ違ったり。

■背景画
丁寧で上手い。宇宙が舞台だけあって、星空が特に繊細に描かれています。
タッチが柔らかく作品とよくマッチしており、キャラ絵と相俟って癒されます。
 

■BGM
全70曲。全て音楽のみ。ALLフリー素材。
と言ってもクオリティは高く心に沁み入るBGM。
心に沁み入ると言うよりは場面場面によるBGMの使い方が上手く使われています。

ピアノの旋律が良い!私的にはOPの咲けない花、桜が振る街、朝凪、覇空が好き。

 

その他(3点)


SFが好きと言うのもあったのか、夢中になれたシナリオです。やはり伏線の消化の仕方が上手かったと言うのが大きなポイント。
音楽の使い方も素晴らしいですし、インターフェースなどシステム面に関しても文句無しです。

 

総評(95点 Sランク)


値段以上のシナリオの良さ、世界観の良さ、システムの良さ…。これ以上にない満足度です。

同人ゲームだけに埋もれている感が強いですが、今ではPSPで発売するなど知名度は高くなっていると思うので、是非プレイしてもらいたい作品。サブタイトルにある『ロリっ娘宇宙人同棲ADV』は間違いではないが、本作は『ヒューマンドラマ』に力を注いでいるジャンルであるので騙されないように…とw

まぁ…感想ではこの作品の良さをほとんどかけていないので…やはり実際にプレイして『ひまわり』の世界観を味わって下さい。

 

ひまわり(youtube) OP

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