ギャルゲー・エロゲーを中心とするレビューを綴るブログであります。基本ネタバレありです。
2016年は8作品。久々に熱が出た。今年は…今のところ気になる作品もない。

シンフォニック=レイン愛蔵版

2010.07.04 by てるりん♪

39.シンフォニック=レイン
製作 – 工画堂スタジオ くろねこさんちーむ
原画 – しろ
シナリオ – 西川真音
音楽 – 岡崎律子

 

 

 

 

<ストーリー>
一年中雨が降る街ピオーヴァ。フォルテニストになるべくそこの音楽学校に通う主人公は、卒業まで数ヶ月なのに卒業演奏のパートナーが決まっていなかった。主人公は無事にパートナーを探しだし卒業演奏を成功させることが出来るだろうか、それとも… (by wikipediaより参照)

■テーマ度数

pikautu
pikanaki
pikaodoroki
pikamoe
4 2 3 5

鬱…雰囲気、シナリオの展開、キャラクターが抱える悩み。全てが絡み合う恋愛鬱ゲーです。捉え方によってはGood=Bad w
泣…泣ける、感動できるかはキャラクターへの感情移入次第かなと。鬱要素は高いがキャラ描写は巧み。
驚…各Good Endを見た後に出るal fineで語られる真実。だいたいは予想通りの範疇内なのでそこまでは驚く事はないかも。
萌…音の妖精フォーニが滅茶苦茶可愛い(*´_ゝ`) 肩に乗せたい…!w

 

<感想>※基本ネタバレあり。未プレイの方は要注意です!
全年齢作品としては有名かなーと思っていたのですが、案外知名度は低い模様…?
感想が書きにくい…のですが、作品自体は良く練り込まれたシナリオ構成で、二転三転する隠された真実が存在しており、紐を解いて行く面白さがあります。
特に音楽との融合が心を揺さぶり、感動する所謂、泣きゲーとしては良く出来た作品だと思います。

因みにネタバレすると面白味が減るので感想を読んで頂ける際はご注意を。

 

シナリオ(45点)


欺瞞に満ちた世界に隠された純愛
この作品は欺瞞に満ちた世界だ。クリス視点からでは見えない、彼女達にはある『嘘』からシナリオが構成されている。
ヒロイン達がつく嘘が人間性を確立させ、その後クリスに大きな影響を及ぼしているように、この隠された真実を紐解きながら作品を楽しむ事が一つの前提となっている。

各ヒロインのシナリオから見てみよう。

ファルシータ・フォーセット(イタリア語女性名詞:ファルシータ=偽善、偽り)
「だってわたしはくりすさんのことをあいしているんだから」 by ファルシータ

彼女の目的と手段が明確なので言動に対してブレが無く合理的かつ打算的なのだ。邪魔な者は排除、欲する者は他人を利用してでも手に入れる明快な動機である。彼女が告白するタイミング、クリスが奏でるフォルテールの音の本質、彼女がクリスに対して求めているモノ…、計算しつくされたファルの行動には一切の妥協や無駄が無い。

行動原理がはっきりとしているので一貫性のあるシナリオなのだが、全てにおいて欺瞞に満ちた世界でもある。
その行動原理を支える最大の要因に親の愛を受けずに孤児院で育った事、生活が苦しかった故に求めるモノの反動の大きさ、お金の大切さ、より高みへ目指す事、ファルが取る行動の裏付けと動機がはっきりしているので、目的外でも優等生としての自立、恩を売る事で利益を得ようとする打算的な性格、完璧が故にその行動の周到さは物凄い人間臭いのだ。要は自分さえ幸せならと、極端ではあるが高みを目指すにはどうしても人を踏み台にしなければならない、どんな感情を持とうがそれを実行し得るファルの人としての強さ、己の欲望がすごい伝わってくるのだ。

彼女の本性を知っていれば決して良いようには映らないかもしれない。高みを目指す人間なら敢えて妥協せずに己の信念を貫く事。自分にも他人にも妥協せずに高みを目指す事…。己の目的の為ならば自身の体を欲する者に対して捧げても…プライドすら乗り越える、その姿はある意味純粋すぎるとも言えよう。

クリスのフォルテールの音の本質が『悲しみ』から来る事を知っており、ファルのGod Endはそれを知りながら敢えてその感情を利用する事で高みを目指す、いわば見方によると決して良いエンディングとは言えないのだ…w
恋愛なんて理屈ではないので、結局は利用されていると知りながらも離れられない、男の性とも取れるクリスの想いが汲み取ることが出来る。
彼女が持つ羽を渡され、互いに高みを目指す事、ファルの愛情は方向こそ違えど、純粋な愛としても見る事が出来ると思うのだが。

ファルの本質はもしかしたら、両親に捨てられた、ある意味復讐という意味合いにも取れるかもしれません。
嫉妬や激情が見られる、人間の本能と言うか本性と言うか…、この感情はどのシナリオにも絡んで来ているので、復讐が根幹にあるのかもしれませんね。その形が、ファルはより高みを目指す事、トルタはクリスへの想いとアリエッタの存在、リセ(被害者)は父親を裏切った母親への憎悪の道具と言い、どのシナリオに嫉妬や悪意に満ちた感情が描かれているのです。

リセルシア・チェザリーニ(意味は特にない…?グラーヴェ=深い、重い)
「あの、歌ってもいいんですか?」 by リセルシア
「僕は、君になにかして欲しい訳じゃない。君のためになにかがしたかっただけなんだ」 by クリス

このシナリオはある意味番外編として捉えた方が早いかも。唯一自発的に感情的に主人公が動くシナリオなのだ。ファル・トルタとプレイしているならば、クリスのリセに対する思いが明確に描かれており、唯一自分からアリエッタに対して別れを告げている点もクリスの印象がガラリと変わる一幕である。

父親と娘、そして裏切られた母親への復讐の対象が生々しく描かれており、寧ろ男の嫉妬が嫌と言うほど描かれているんだよねぇ…。
貴族社会の名残が強く残る世界観だけに、そのプライドの高さ故に自身が捨てられた事がグラーヴェの自尊心を壊し、結果リセが報いを受ける事になる。矛先を自分の子供ではなく、妻の子供として目線を変えている点が。どう転ぼうがフォルテール奏者にする、母親と同じ歌い手にはならせない為の暴力は以上を超えて、恐怖すら感じる。

リセがあまりにも純粋な為に、クリスとリセに対して同情がいってしまい、勧善懲悪としての形式としてシナリオが成り立つのだが、上手くいく事がなく…、リセへの悲劇へと繋がってしまいます。

そしてラストは声が出ている以上、希望にも取れる終わり方ですが…、本当にクリスは救われたのだろうか?

最後のトルタが放つ台詞 「これって、贖罪のつもりなの?」 トルタ怖ぇ…と思える一言。アリエッタとトルタとクリスは三角関係以前に、あの事があってから、全てが一心に繋がっている為に、トルタの3年間の努力、アリエッタの事後、その事を踏まえ、クリスが思いだしてくれない事に対しての嫉妬なのか、シンフォニック=レインってこのようなメタファーを含む文章が上手く機能していて、全く関係ないシナリオでも個々の感情が台詞一つでジンジン伝わってくるあたりが上手いなぁと感心しきりです。

まぁクリス自身が気づかない限り彼のトラウマ(物語の終わり)は解消される事はないのだろう。

トルティニタ・フィーネ (dacapo 始まり al fine 最後)
「手に入れればいい。 最愛の人を、最悪の方法で」 by トルティニタ

切なすぎるよなぁ…。双子と主人公の三角関係そんな恋愛関係をキャラクターの描写を丁寧に描いています。トルタはこの作品の主人公、いやメインヒロインであろう。

■dacapoそれは全ての始まり。
トルタシナリオはdacapo(クリス視点で見たトルタ)、al fine(トルタ視点で見たクリス)の2パターンから別れており、al fineはシンフォニック=レインの世界観の解答編と捉えてもよいだろう。

遠距離の恋人はいるんだけど、音楽学校の卒業製作の為に共同パートナーを探して、共同作業をしているうちにその娘を好きになっちゃった…。傍から見れば明らかに浮気ゲーですよね…(苦笑)

流石にクリスはそこまで不誠実ではなく、その狭間でかなり苦しんでいるので問題はないのですが、トルタとアリエッタ、あまりにも近すぎる関係、当然意識しないわきゃない…。

でも、このdacapo視点からみるとどうしてもトルタが卑怯で嫌な女性にしか見えないんだよねー。これは意図的なので悪意はありませんが、dacapo視点はある意味ファルとトルタの恋愛観のアンチテーゼのように描かれている。

当然二人がクリスを想う気持ちは同質ではあるが(同質とは言い難い面はあるが)、手段や行動に対してはまるで逆である二人。ファルに関しては上記を参照。
トルタは『アリエッタ』と言う存在がいる上で、傍から見ればクリスに対して細かくアプローチを仕掛けてくる点、でも理性では解っていても感情が抑えきれない、トルタがクリスを想う狭間とクリスがトルタとアリエッタの狭間で揺れ動く心理描写が巧みなんですよねー、dacapoの場合はあくまでも推測には過ぎませんが、しかしトルタが取る行動はクリスと同じように優柔不断な一面の方が強く描かれているし、ラストに関して言えば、だいたいあそこで仕掛けた種が理解は出来ると思うが、感情を踏みいじるタブーな行動に出た点がどうしてもね。好きだからこそと言う気持ちはわかるのだが、そこらが絶妙に駆け引きとなっている。

もしこれがファルならば間違いなく姉を裏切ってでもクリスをものにしていたでしょう、トルタと対照的に描かれた恋愛観がよりキャラクターに対してのリアルを募らせてくれます。
ファルが過程の一環と捉える事が出来るならば、リセはトルタで言う結果の一環とも取れるかもしれませんね。

そしてal fineで語られる全て。このトルタ視点が実に巧妙に作られていて、dacapo視点から見たトルタの行動の意味が的確に埋められていくので、トルタに強く揺さぶられました。彼女がこの3年間募らせてきた想い、アリエッタと言う存在に悩み続けてきた訳、そしてクリスに対して取ってきた切なく残酷で優しい『嘘』。全てが合わさった時、このトルタと言う少女の本質が表れたような気がします。

シナリオ自体dacapoと同じですが、クリスに対する想いに対してトルタが切実に悩み苦しむ姿は中々心が引き裂かれるもの…、こう視点が変わるとどうして視点対象キャラに感情移入してしまうよね、先程逆の相手に感情移入してたけど、見方が変われば視点もまるっきり変わる…、ここら辺は何の辺境もないと思うが、心理描写でカバーしています。

そしてクリスに告げられる真実…まさか雨の街がクリスと直結しているとは…違和感はあったのですが見事です。そしてアリエッタの…。
世の中ってむつかしいね…!って言葉が脳裏に…、このような形でトルタを解放してしまう不完全さ、これが鬱ゲーの起爆剤となっており、刺激的だ…。

全ては意のままに…。

○フォーニ(グランド・エンド)
このお話はあくまでも一つの可能性に過ぎない蛇足と捉えてよいお話だと私は思います。今までの流れからみると、本来はal fineが本当の意味でこの作品の結末なんだろう。

フォーニは一体どんな思いで手紙やクリスの話を聞いていたんだろうなと思う。クリスがいかにしてトラウマを克服するかがこのシナリオの鍵になっています。そして全てが上手くいく、そんな綺麗なお話です。

このシナリオを見ると、音楽って本当に良いなぁと素直に感じさせられる所ですかね。二人とも音楽を愛していると言う共通した一面があるのですが、音で言葉を奏で、音で想いを告げ、音で人を楽しませる…、フォーニの唄声には誰もが感じる魅力的なモノがあるんだろうなーと。卒業演奏のシーンは…鳥肌ものだと思うよねん…。

まぁこれはアリエッタにとっての救済シナリオなので、今までの鬱を晴らすような気持ちでプレイしましょう。

 

キャラクター(13点)


■ヒロイン
可愛さだけを語れば、フォーニの右に出るキャラクターはいないなと…。毎日タオルを置く姿がとても愛らしかった…(*´_ゝ`)

ヒロインの性格ですが、各ヒロインルートをクリアする事に印象がガラリと変わる点が実に面白い…w
私はファルシータから始めたので、後の他ヒロインルートでの彼女の言動があからさまで…驚きましたw

メインヒロインは主人公の恋人であるアリエッタと言うよりは、トルティニタがメインヒロインと言う位置づけかな。
トルティニタとファルシータが持つ性格は似たように描かれているが本質がまるで違う点も巧妙で客観的に見てもキャラクターがよく練り込まれて作られているなーと感じます。

私的には利己的に言動を取るファルシータが行動原理が良く出来ているなと。傍から見れば良心溢れるような性格なのだが…実は悪女的な性格をしているおり、打算的なヒロインなのだが彼女が持つ過去の背景や信念が行動に上手く描かれており、自身の為に非情な言動をも取れる姿が逆に美しさを引き出している感じです。
しかし、グラーチェと娘に対するあの言動は衝撃的でした…w

逆にトルティニタは純粋さ故の言動であり、ファルシータとは本質的に違いますが、トルティニタが持つ忍耐と言うか…w 耐え忍ぶ愛とでもいいましょうか…w 実に素敵だと思います…。特にdacapoとal fineのトルタの心情描写は実に巧妙としか言えません。その分、悲しい思いが残るものの、al fineルートは悲しさの裏に秘められた、実に残酷でありながらとても優しい終わり方だったと思います。

他のヒロインとは関連性が薄いリセルシアですが、彼女のささやかな喜びや感情表現が巧みに描かれているんですが、如何せんシナリオに泣かされたキャラクターでもあるので…w フォーニに次ぐ可愛さではありますが、もう一つ印象に残る性格が一つ二つと欲しかったなぁーと。

■主人公
序盤から無気力な感じで私的には受けの悪い主人公でしたが、彼が抱える重い背景が解けるにつれ、よりシナリオに重みがかかります。
基本無気力人間ですが、やる時はやると言った一部のルートでは積極的に言動を取っていく所が好印象です。
ただフォルテール奏者としての資質は誰もが認めるほどの腕前であり、各ヒロイン達を魅了していく。

見方を変えれば浮気として捉える事も出来てしまう為…主人公の優柔不断な点が若干鬱要素高い…w(いやクリスはかなり誠実な性格なんですがね…)
優柔不断=鬱ゲー主人公の特権と言うか…w

 

システム(15点)


■インターフェース
特筆すべき点はありません。使いやすく、ホイール機能やスキップ機能など基本的な機能は兼ね備えていますし、文章も読みやすいです。

■文章
読みやすい。感情表現が巧み。浮き沈みが。
■ミュージックパート
兎に角難しいの一言。ビーマニを久々にやった感じ。どの曲も難易度が高く、キーに集中しすぎる為に音楽がまともに聞けない不便さはありますが、スキップ出来るので問題ない。成否の設定も可能なので、God or Badも簡単にルート設定できます。
成否がシナリオに深く関わって来るので、真面目に自力でクリアするのは…結構敷居が高い難易度だと思います…w

■その他ゲージ
時刻が表示されていますが、深く物語には関わっておりません。
クリスのボルテージゲージも鬱具合によってパラメーターが変わるのですが、物語に深く関わっておらず特に意味はありません。

 

 

CG & BGM(14点)


■ キャラ絵
原画はしろさん。淡く優しいタッチのある人物画が特徴。全体的に薄いと言うよりか背景に溶け込んだ絵で雰囲気にあった感じ。
顔のバランスが若干違和感を感じる部分があるが綺麗な人物画です。

■背景画
背景も人物画と同様に淡いタッチが印象的。西洋が舞台であるこの作品にあった背景画が印象的です。

■BGM
全19曲。+パスワード『包丁』から…。⇒何でこのPASS?w

全曲岡崎律子さんが作曲した音楽。優しく心に沁み渡るようなBGMだ。
私的には『I’m always close to you』ベストオブソング。歌詞が切なすぎます。

各ヒロイン事に曲が用意されており、どれも曲調の美しさが際立っています。
やはりフォーニの声優兼歌手としても歌っている笠原さんの透き通る声が印象的です。『fay』も『I’m always close to you』とは逆に明るいテンポのある曲ですがフォーニの性格にぴったりあった名曲です。

 

その他(3点)


キャラクターの心理描写が巧み、シナリオの構成、文章の構成、読みやすさも相俟って素晴らしい作品だと思います。

 

総評(90点 Aランク)


この作品、決して人は形だけの幸せはないよ…と告げられたような感じがします…w 幸せの裏には悲劇が付きまとう…と言うとなんだがとんでもなくネガティブな作品な気がしてならんが…w

ただ幸せや不幸の形って人様々であり、この作品で語られた結末だけではないだろう。それをどう味合うか、この作品はそのさじ加減…と言うか構成が見事だったなーと思える作品です。

プレイして損の無い出来栄えです。全年齢なので、気軽にプレイしてください…、ただ鬱ゲージはそれなりに高いので、暗い気持ちになりたくなければプレイは推奨しません…ww

 

シンフォニック=レイン OP (youtube) OP主題歌『空の向こうに』 歌:岡崎律子

 

■関連商品

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。
一度ページを再読み込みしてみてください。

アマゾンのサーバでエラーが起こっているかもしれません。
一度ページを再読み込みしてみてください。

シンフォニック=レイン DVD初回限定版

シンフォニック=レイン DVD初回限定版

定価:¥ 10,584

Amazon価格:¥ 29,800

カテゴリ:DVD-ROM

発売日:2004-03-26


 

Posted in メーカー別, 工画堂スタジオ

Trackback URL

承認制です。トラックバック歓迎です。スパム系は許可しませんのご了承

コメント

本文入力

SEO Powered by Platinum SEO from Techblissonline